Aliexpressで電子工作-10 LEDライトモジュールを買ってみた

ここに書いてあることを真似するときは次のことについて十分すぎるくらい注意してください。
・ショート・感電・発熱・火災・火傷

電子工作をやっていると細かい作業や小さい文字が見づらいことがよくあります。老眼ですね。

対策としては
1.老眼鏡やルーペを使う。
2.ライトなどで明るく照らす。
というのが有効です。

老眼鏡は一応持っているのですが小さい文字などは依然見づらい状況です。部屋の明かりが十分ではないのでしょう。手元を明るく照らす何かを考えていました。

LED SMDランプ 10W 20W 30W 50Wというのがありました。20Wのものでも300円しないようですので早速購入してみました。説明では230V用となっています。

おそらく明るさとしては10Wのものでも十分だと思いますが230V用なので20Wのものに100Vを接続したらちょうどいい明るさになるんじゃないかなという安直な考えで20Wを購入しましたがこれが失敗でした。

届いたものがこれです。(基板上にはAC-LM-20Wと書いてあります)

チップLEDが42個、コントロールICが2個、ブリッジダイオードが1個、チップ抵抗、コンデンサ、ヒューズなどで結構シンプルです。

またまた安直に230V用なので100Vに接続しても壊れないだろうという考えで100Vに接続してみます。

暗い。チラつく。
一部のLEDしか点灯しない。

さて、ネタができたところで早速解析していきましょう。大まかに言って

AC入力をブリッジで全波整流してコントロールICでLEDに流れる電流を制御している

といった感じです。

コントロールICの素性がよくわからない。

ICには3000Bとマーキングされています。これが2個。

ネットをくまなく探してみるとどうやらCYT3000BというLEDドライバーのようです。中国語で書かれていてなんじゃらほい?といった感じです。

CYT3000Aというのもあるらしく英語で書かれたドキュメントがあったので読んでみましたが、100V用に改造することも無理のようです。

ここであきらめるわけにもいかず、このデータシートをもとにこのモジュールの回路を推測してみます。

基板上が全体的に白く塗られているので、パターンを読みにくいのですが、

・LEDはVf=18Vらしい。
・3個並列になったものが直列に接続されているらしい。
・いくつかのグループに分かれているらしい。
・第一グループが8個直列。
・第二グループが4個直列。
・第三グループが2個直列。

のようでした。

データシートでは直列になったLEDは4つのグループになっていますが、どうやらこのモジュールでは3つのグループのようです。

LEDとICの接続関係はおそらくこんな感じ

ACコードをはんだ付けしたときに感じたんですが、アルミ基板はかなり熱を吸収するということ。そのせいもあってLEDの接続を変えて100V用にしようという気には全くなりませんでした。

さて、どうするか…

20W程度なら230Vを作ってしまうというのも一つの手ではある。

・インバータで230Vに昇圧した電圧を作る
・AC100Vを倍電圧整流して200Vを作る

いつものようにAliexpressをみているとDC12 -AC220V 35W インバータというのが安くあるようです。これを買ってしまうというのも一つの手ではあるがここはあえて倍電圧整流の方法でやってみたいと思います。倍電圧整流の方法も意外に簡単そうです。(そうかな?)

ブリッジ全波整流になっている回路を倍電圧半端整流にするにはコンデンサを2個追加するだけです。

追加する配線だけで、切断する配線はありません。
コンデンサの耐圧は200~250Vあれば十分でしょう。
容量はどれくらいにするのがいいでしょうか?

元々の回路が整流した状態でほとんど平滑していないものを電源として使っているので、あまり大きなコンデンサを接続して完全に平滑してしまうと問題がある恐れがあります。

それにそもそもCYT3000BがどのようにLEDの電流をコントロールしているのかよくわからないのでむやみに直流にすればいいというものでもないようです。

データシートには

「2、駆動機構
CYT3000Bは、入力電圧の変化に応じて異なるLEDストリング(セグメント)の数をセグメント化します。
したがって、交流サイクル全体を通じて、LEDが点灯している時間を長くし、これにより、交流電源の利用が増加し、広い入力電圧範囲が維持される。
特許取得済みの電力補償技術を利用して、デザインポイントのAC入力電圧の変化を実現し、パワーは比較的一定のままです。」

と書いてあり、交流を整流しただけの脈流を想定して各直列グループのLEDを切り替えたりつなぎなおしたりしながら定電流回路とともにLEDの電流を制御しているようです。(中華にしてはなかなか面白いことをやるなぁ)このことから完全に直流にしてしまうとチップの消費電流が増加したり点灯しないセグメントができてしまいうかもしれません。

思っていたより結構複雑でした

簡単にシミュレートできるか考えてみましたが、ICも結構複雑な動作をしているうえに、LEDだけでも大量にあるため面倒です。ここはエイヤッ!で決めて実験してみることにしました。

使うコンデンサは一応かなり簡易的に計算して
・200V4.7μF x 2
・200V10μF x 2
の2通りでやってみます。

まずそのままAC100Vを接続したときの電流を測ってみました。

約5mA(0.5W相当)です。

LED配置の第一グループがそれほどまぶしくない程度に点灯しちらつきもあります。

ちらつきがなければ少々くらいですが手元の照明には使えそうでしたが、ちらつきがあるのでこのままではだめです。

次にAC100Vの全波整流後に普通に10μFを接続したときの電流です。

約20mA(2W相当)で、明るさは先ほどより少し明るくなったようですが、やはりLEDの第一グループのみ点灯しちらつきもまだあります

いよいよ倍電圧整流にしてみます。

まずは4.7μFから。

かなり明るいです。第一グループがかなりまぶしく点灯しているので直視できませんが、第二グループも薄く点灯しているようです。ちらつきはありません

電流は約200mA流れています。およそ20W相当です。

この時点で基板がかなり発熱しています。

ここまで来たら10μFも試してみます。

LEDの第一グループと第二グループもまぶしく点灯しています。第三グループはやはり点灯しません。

電流は4.7μFの時よりちょっと増えた程度です。

基板はかなり発熱しています

段ボールの上で実験していたら感熱紙の宛名ラベルは黒く変色し、ラベルをはがした後のわずかに残っていた粘着部分も変質していました。

かなり発熱していたことがわかります。

これ以上の実験を行うにはちゃんとした放熱器が必須のようです。

ということで、これまでの実験結果から、

・250V/10μFのコンデンサ2個を追加して倍電圧整流を行う
・大きめのヒートシンクが必須

ということでした。

更に実験は続く…

先日、DC12V→AC220Vのインバータ基板を入手したのでそれをつないだらどうなるか実験してみました。

約4cm x 4.5cmで220V35W出力できるもので1個200円くらいでした。

ただ、出力は10kHz程度の矩形波と思われますので用途は限られますね。

いろいろなパーツや回路を付加して実験した結果をまとめてみました。

電圧 付加回路 点灯LED 電流 消費電力 発熱 放熱器 ちらつき 明るさ
100V 無し 8/14 5mA 0.5W 〇ほぼ無 不要 ×あり ×暗い
12→230V Inverter 8/14 20mA 4.6W 少し 不要 〇無し △明るい
100V 4.7uF*2 8/14 160mA 16W あり 〇無し 眩しい
100V 10uF*2 12/14 200mA 20W △多い 必須 〇無し 〇かなり眩しい
100V 22uF*2 12/14 250mA 25W ×高温 必須 〇無し 〇かなり眩しい

※電流値は実験するたびに変動するので参考程度に考えてください。

まとめ

・細かい作業時の手元照明用 → 4.7uF * 2個と適度なヒートシンクを追加して15W相当程度の照明として使用する。

・光量の必要な照明用 → 10uF又は22uF * 2個と十分な大きさのヒートシンクを追加して20~25W相当程度の照明として使用する。

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