Aliexpressで電子工作-26 ちょっと残念なBluetoothレシーバ

Bluetooth製品もかなり安くなってかなり多くの種類の製品が売られています。中には100円台で購入できる商品もあります。そんな中で1$くらいで購入できるものを一つ買ってみました。機能としては「Bluetoothで音声を受信する、電源はUSBコネクタから」のみです。
・USBにはBluetoothデバイスとしての機能はありません。(USBコネクタはあくまで電源をとるためだけのものです)
・音声はステレオではなくMONOです(商品ページにはStereoの記述がありました)。
・Bluetooth受信デバイスから送信デバイスの音量調節や次トラック/前トラック/Pauseなどの制御はできません。

また、使用してみていくつかの問題点もわかりました。
・電源がUSB-Powerの5Vでは動作がかなり不安定です。
・オーディオ出力のGNDと電源のGNDを接続すると著しくノイズが入ります。

このように安いだけでほとんど使い道がありませんでした。で、このまま捨ててしまうのは惜しいので例によって分解してみることにします。

USBコネクタの金属枠を外します。

すると上下に分解できます。

ICにはYS1020Bというマーキングがあります。

検索してみるとFREQCHIPというサイトがヒットしました。

しかし、中国語でデータシートもなくたいして情報はありません。
このページの中に「蓝牙单声道耳机解决方案(Stereo Audio Headset Solution)」と書いてありますが、
中国語のほうを訳すと「Bluetoothモノラルヘッドセットソリューション」
英語のほうを訳すと「ステレオオーディオヘッドセットソリューション」
となり、内容が食い違っています。
おそらくモノラルのほうが正しいのでしょう。

ジャックの端子を見ても右と左に相当する端子が基板上で接続されているのでモノラル確定です。

ICがモノラルではどうしようもありません。せめて安定に動作するようにできないか考えてみました。

USB電源がノイジーなのかとかいろいろ考えてみてドロッパ式の実験用電源で試してみたところ意外なことがわかりました。

なんと電源電圧が5Vでは高すぎるということです

上記のサイトにデータシートがないので正確な定格がわからないのですが、おそらくICの電源は3.3Vではないかと思われます。基板上ではUSBコネクタからダイオード1本を通してICに供給されています。ダイオードで0.7Vドロップすると仮定した場合ICには4.3Vくらいの電圧がかかっています。ICの電源電圧に余裕があればこれでも動作するのですが、仮に3.3V定格だとすると±0.5Vとしても2.8V~3.8Vくらいが動作範囲でしょう。できれば3.0V~3.6Vくらいにしたいところです。

最初は電源電圧なのか電源のノイズなのかもあまりよくわからなかったためこのようななアダプタを作ってみました。プラスとマイナスにそれぞれマイクロインダクタを入れて、レギュレータで電圧を調整した後0.1uFと470uFのコンデンサを通っています。電圧を4.0Vくらいに設定するとかなり安定して動作するようになりました。(基板上で0.7VくらいドロップするのでICには3.3Vくらいがかかっています。)

その後、マイクロインダクタをショートさせてみたり470uFを外してみたりしても安定に動作するようなのでもう少しコンパクトなアダプターにしてみました。レギュレータと出力の0.1uFだけです。

これでいろいろな電源で動作させてみました。

PCのフロントUSBコネクタ、PCのリアUSBコネクタ、USBハブ、モバイルバッテリー、ダイソーの200円のUSBチャージャ、タブレットに付属していた比較的良質のUSBチャージャ

どれも安定して動作します。電源のノイズよりも高すぎた電圧が原因でした。

いちいち電圧変換アダプタをつなぐのも面倒なので本体を改造してみました。

SMDの3.3Vレギュレータがあればよかったのですが手持ちのパーツにあったTO-92のLM317Lを使ってみました。

かなり汚くなってしまいましたがふたをしてしまえば見えないので動作すればOKということで…USBコネクタ付近のダイオードを取り外してLM317Lとチップ抵抗2個をつなぎます。おそらくAMS1117-3.3などは大量に購入すれば1個当たり1~2円くらいなのでそれさえもダイオードで済まそうとコストカットが半端ないですね。でも、ちゃんと動かなければ何のためにやっているのか…

もう一つの問題として電源のGNDとオーディオ出力のGNDを接続するとかなりノイズが入ることです。基板上で出力ジャックのGNDを追ってみると電源のGNDには接続されておらずにICのどこかのピンに接続されていました。ということは「出力は対GNDのシングルエンド出力ではなく2本のバランス出力になっている」と考えられます。

PCのUSBコネクタから電源をとって出力の片方だけをPCのラインインへ入力してみてもノイズが出ていました。PCのUSBコネクタから電源をとって別アンプで聞いた場合と、USBチャージャのようなものから電源をとって出力をPCにつないだ場合のどちらもノイズは小さかったのでやはり電源とオーディオ回路はアイソレートしていないと無理のようです。

ちなみにスマホなどからはデバイス名は「Bluetooth music」という名前で見えます。

添付のマニュアルにはDevice ID:YET-M1などと書いてありますが全く異なっていました。

さて、安定して動くようにはなりましたがHi-fiオーディオには使えそうにはありません。せっかくレギュレータも内蔵して単体で動くようになったのですが分解して何か別の工作にでも使いますか・・・

- 追記 -

電源のGndとオーディオ出力のGndを接続すると激しくノイズが入る問題については手持ちのトランスを挿入してみたところピタリと収まりました。使用したトランスはこんなやつを分解して中からトランスだけを取り出したものを使ってみました。Amazonなどで安く購入できます

オーディオ出力のGndとUSB(電源)のGndが別ならばトランスを入れなくても特に問題はありません。

それでもモノラルのままでステレオになるわけではないのでやっぱり分解して何か別の用途にでもしますか・・・

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