Tektronix 2232 オシロスコープの不具合が直ったかも

ジャンクで購入したTektronix 2232です。マニュアルが付いて3000円くらいでした。(送料別)商品説明には
1.つまみにひびが入っていたり補修跡があります
2.輝度調整ボリュームを操作しても表示が薄くて見えません。
とありました。

1.については画像で確認して特に問題なかったのですが2.については輝度がどれくらい薄いのか?修理できそうなのか?ちょっと心配でした。

まあでも安かったので購入してしまいました。届いてみると外見は比較的きれいです。問題は動作ですが電源を入れてみるとファンの音が結構うるさく感じられます。これはもともとこの程度なのかそれともファンの劣化によるものかわかりませんが排気口に手をかざしてみると空気の流れはあるようなのでとりあえずいいことにします。

しばらくたっても輝線が出る様子がないので輝度調節つまみを回してみます。

この機種はアナログデジタル混在のためでしょうか?輝度調節が4つとフォーカス調節の5つの表示調節ツマミがありました。
1.Aトレース用輝度
2.Bトレース用輝度
3.リードアウトとストレージ用輝度
4.スケール目盛照明輝度
それとフォーカス調整つまみです。

おや!結構明るく表示されるじゃないですか?こりゃ当たりを引いたかな?

気をよくして機能を色々確認していたら10~20分くらい経ったでしょうか、内部でチリチリと音がし始めて表示が少し乱れたと思ったら全く表示されなくなりました。

やっぱりそう甘くはないですね、商品説明と症状は異なりますが不具合品です。電源を切ってしばらく放置すればまた10分くらい動作するのですが毎回そんなことをするようでは不便です。

とりあえず分解して内部を見てみます。カバーを外した上面の基板です。

カバーを外した下面の基板です。

大きい基板はこの2枚でこのほかにも小さい基板が何枚かあり今どきの軽量オシロに比べるとパーツの数が桁違いに多くあります。

症状からして故障個所は電源それも高圧回路ではないかと想像しました。しかしもっとバラさないとなかなか電源回路までたどり着けません。

(ここでちょっと修理する気力がなくなって数か月が過ぎます…)

何となく気が向いたのでまた分解してみることにしました。上面にある基板はヒンジが付いていてケーブルを外すことなく持ち上げてその下を見ることができます。基板の下にはシールドされた電源部分が見えました。

電源部分のシールドを外してみました。

水色のものは高圧用のセラミックコンデンサでしょうか?ホコリを吸い寄せて真っ黒になっています。右上には古めかしいコンデンサがいくつもあります。右下は長いシャフトでフロントパネルまで伸びているフォーカス調節用のボリュームです、これもかなりホコリが吸着しています。そのすぐ上の四角いのが高圧用トランスのようでここからCRTのアノードに赤いケーブルが伸びていました。

とりあえず簡単にホコリは落としてみましたがコンデンサが噴いていたり抵抗が焼けている様子は見られません。

パターン面はこの部分だけ黒いカバーが付いていたので外してみました。水色の高圧用セラミックコンデンサの下あたりは相当電圧が高いのでしょう。ホコリを吸い寄せてかなり黒くなっています。ここも簡単に清掃しておきました。パターンが損傷したりパターン間で漏電したりしている様子はありません。

ここで一旦組み立ててみて様子を見てみましたがこの程度の清掃で直るはずもありません。電源を入れてすぐは一応正常に表示されるのですが15分くらいで表示が乱れ始めて消えてしまいます。

表示が乱れるときに聞こえていたチリチリという音は電源部からではなくCRTのあたりから聞こえているようです。電源部分に外見が正常でも劣化している部品があるのかそれともCRT周辺やまたは別の部分に原因があるのか?ここまで分解するにもかなりの本数のネジを外しているのにCRTも外してみるとなると更に外すネジが増えて元通り組み立てられる自信がなくなってきます。

思い込みで次から次へと部品を交換しても収拾がつかなくなりそうなのでここでまたしばらく頭を冷やします。

ネット上には先人たちがオシロを修理した記録がいくつもありました。やはり想像通り電源のコンデンサが跳んでしまったものもありましたが中にはハイブリッドICが劣化したというものもありました。最初から電源部分の故障だと思い込んでいましたがこのオシロにもそれらしきICはあります。

上面の基板上にある白いセラミック基板に乗ったものは2つあるので2ch分の入力回路用のA/Dか何かでしょう。今回の症状とは関係なさそうです。正方形の比較的大きなICはいくつかありますがその一つに丸い独特の形をしたヒートシンクが乗ったものがあります。

ヒートシンクが付いているということは発熱をするということです。発熱をするということは放熱がきちんと行われていなければ正常に動作出来ないということです。外せそうだったので外してみました。

かなり強いテンションで抑えられていましたが熱伝導グリスのようなものは付いていません。完全に蒸発してしまったのかそれとももともとついていなかったのかは不明です。

PCのCPU用に使うシリコングリスがあればよかったのですがちょうど切らしていたので一応接触面はきれいに拭いた後手持ちに潤滑用のシリコンオイルがあったので薄く塗っておきました。

ちなみにVLSIの大きなICは「ASIC:CMOS, CUSTOM; TIME BASE/POINT PROCESSOR」だそうで、すぐ近くにある同じくらいの大きさの黒いのはAMDの16bitCPUで「N80C188」のようです。このヒートシンクの付いたICはやはりVLSIのものでカスタムプロセッサのようなものらしいです。

さて、これで組み立てて電源を入れてみましたが以前と違って30分、1時間と動作させても表示に変化がありません。ここが原因だった可能性がかなり高いようです。この状態でしばらく使ってみてシリコングリスが手に入ったら塗っておくことにしました。

今時のオシロに比べたらスペックはそれほどでもないのにデカいし重いしいいところがないですがアナログオシロも使い方によっては有効なこともあるようです。

一応一通り機能を確認してみました。アナログオシロとしてはこんな感じに表示できます。普通の2ch遅延掃引にリードアウトが付いたものです。

ストレージモードにするとこんな感じです。波形上にカーソルが2つ表示されてその2つのカーソル間の⊿tと⊿Vが表示されます。

アナログ帯域は100MHzですがサンプリングも100MS/sですしメモリはたった4Kしかありません。例えば50MHz信号を表示させてみると…アナログモードではまあ何とかそれらしい表示をしますが…ストレージモードにすると「なにこれ?」って感じです。(設定でベクタ描画みたいなのがあって連続した線にできるらしいんですけど)

こんな性能ですけれどシングルスイープを使うときなどはストレージモードが役に立ちますね。

ストレージモードには表示設定の他にも診断機能がいくつもあります。テストでPASSが出ないところがあったからと言って故障パーツがすぐにわかったり修理方法がすぐにわかったりするとも限らないですが…。

あとこの機種には裏メニューのようなものがあってTektronixのロゴや魔法使いの表示が出るのもよく知られています。

しばらくはこれで遊べそうです。

 

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