Aliexpressで電子工作-13 FMラジオキットをLiPoで動かしてみる

以前200円以下で作れるFMラジオキットを組み立ててみましたが、Aliexpressを覗いていたら小さなリチウムポリマーバッテリー(LiPo)充電基板が安く売っていました。

FMラジオにちょうど良さそうなので買って試してみました。

200mAhのもので1個110円くらいでした。

充電基板とバッテリーです。単三電池と比べてもかなり小さいです。

この充電基板は充電電流の初期値が1Aとなっているので、念のため小さめに設定しておきます。R3が充電電流設定抵抗です。1200Ωが付いていますがこれを12kΩに変更しました。これで充電電流は約100mAとなります。そのほかの電流に設定したい場合はデータシートを参考にして変更してください。この充電基板にはTC4056Aという充電制御ICが付いていますした。アナログデバイセズの他にもSHENZHEN FUMAN ELECTRONICSTP4056(NanJing Top Power)という似たようなものもあります。(アナログデバイセズのLTC4056-4.2は型番が似ていてLi-Ion/Li-Poの充電ICですが構造が少し異なっておりピン配置も違うので別物のようです)

この充電基板にはDW01Vという充電/放電プロテクトICも付いています。バッテリーにもプロテクトが付いてるし、充電ICにも充電時の制御があるので充放電に関して二重に保護回路が働くようになっています。

充電基板バッテリーの接続に関してはこれでいいとして、バッテリーFMラジオの接続に関してちょっと悩んだ部分がありました。バッテリーの充電後の最大電圧は4.2Vなること、ところがFMラジオICの絶対最大定格が不明であることです。動作電圧は1.8V~3.6Vとなっていましたが、最大定格が不明なためバッテリーを直結してもいいのかどうか心配でした。

ラジオICのスタンバイ電流はかなり小さいし、バッテリーの容量が小さいのでなるべく損失の小さい方法で電圧が下げられればいいのですが…CMOSのレギュレータも考えましたがラジオもバッテリーも安物を使ったのでレギュレータにお金をかけてもなんなんで、ここは簡易的にシリコンダイオード1本ということにしました。バッテリーの容量を効率的に使いたい場合はCMOSの三端子レギュレータを使ったほうがいいかもしれません。

仮接続をした状態がこんな感じです。動作時は20mAくらい流れますのでダイオード一本で0.8Vくらいドロップしました。

しばらくこれで動作させてみて特に問題がないようなのでコンパクトにまとめてみました。 ラジオ基板の裏に発泡スチロールを挟んでバッテリーと充電基板を貼り付けただけですが、コンパクトになりました。暇があったらケースにでも入れてみますか…

その後、バッテリーの販売されているショップのサイトを詳しく見てみたところ

  • Charging current: 0.05 (A)

となっていました。おっと、見逃していましたね。1/2Cくらいで充電すれば特に問題ないだろうと思っていましたが、このページによると1/5C~1/4Cくらいのようです。もし、充電電流を0.05Aにするには充電基板のR3(1200Ω)を25k~30kΩにします。

また、200mAhでは小さいと思う場合は一回り大きい450mAhのものでも(40mm x 30mm)ラジオ基板の裏にぎりぎり収まりそうです。

使用中にバッテリーの電圧が2.7Vくらいを下回ったところでシャットダウンしました。バッテリー端子は2.7V出ていましたが充電基板の出力が0Vになっていたのでバッテリー上の保護回路より先に充電基板上のDW01Vが過放電検出してシャットダウンしたようです。

—– 追記 —–

この充電基板に使われているプロテクトICはDW-01Vというもので、過放電プロテクト開始が2.4±0.1Vで過放電プロテクト解除が3.0±0.1Vとなっています。

実際にバッテリー残量が少なくなってきたときにバッテリーの出力電圧を測っていたら過放電は2.5Vで検出してシャットダウンしました。シャットダウンすると消費電流がほぼ0になるためバッテリーの電圧が自然に回復して上がってきます。2.9Vまで上がってきたところでラジオの電源が自動的にONになりまたバッテリーの電圧が下がっていきます。以降この繰り返しとなりバッテリーに多少負担がかかります

この繰り返しを止めるために過放電検出してシャットダウン後はある程度充電をしたのちラジオの電源をOFFにするかバッテリーの電圧が自然に回復してラジオが自動的にONになった時に手動でラジオをOFFにした方がいいでしょう。

—– ここまで追記 —–

micro-USBコネクタに充電電圧を加えるとまず、設定電流の1/10くらいの電流で充電します。バッテリー端子電圧がおよそ3Vを超えると設定電流で定電流充電開始となります。これくらいの電圧になるとDW01Vも過放電保護から解放されて出力に電圧が出てきます。

ここで使ったFMラジオICは電源が接続されると電源ONの状態になるため、バッテリーが放電してシャットダウンした状態から充電を開始すると最初はラジオの電源がOFFですが充電開始しばらくたってラジオがONになります

この充電基板の回路ですが、TC4056はバッテリーのプラス端子側で充電電流の制御をしています。DW01はバッテリーのマイナス端子側で過充電/過放電のカットオフをしています。したがって、充電入力(micro-USBコネクタ)のマイナスと負荷のマイナスは共通にできますが、それ以外の端子はmicro-USBの端子とバッテリーの端子はプラスもマイナスも共通にできないので注意が必要です。

接続されている端子
充電入力のマイナス – 負荷のマイナス
バッテリーのプラス – 負荷のプラス

接続してはいけない端子
充電入力のプラス – バッテリーのプラス
充電入力のプラス – 負荷のプラス
充電入力のマイナス – バッテリーのマイナス
負荷のマイナス – バッテリーのマイナス

追記:Li-Poバッテリの種類にはどんなのがあるか?

バッテリの表面に6桁の数字が表示されています。

今回購入したものは「502030」です。これはバッテリのサイズを表しています。

円筒形のリチウムイオンバッテリもほとんどの場合「18650」のように数字で表されますが、これは直径が18mm、長さが65.0mmということを示しています。

今回使用したような平べったいLi-Poバッテリに表示されている数字は「厚さ、幅、長さ」を表しています。「502030」は厚みが5.0mm、幅が20mm、長さが30mmという意味です。

Aliexpressで売られている小容量のLi-Poバッテリをいくつか調べてみました。

容 量 サイズ表示
50mAh 401020
75mAh 651417
90mAh 350926
180mAh 402030
200mAh 401145
402030
502025
502030
551148
601230
250mAh 601235
682030
802025
300mAh 303035
303040
601240
601245
602030
752030
320mAh 602030
350mAh 303040
502530
602030

ちょっと調べただけでもこれだけあって、同じ容量でもサイズや形が異なっていたり、同じサイズ形でも容量が異なったりとあまり統一されていないようです。

と、調べているうちにこんな表があるのを見つけてしまいました やはり、かなりいろんな容量、サイズ、形があるようです。

この表には450mAhのものが載っていませんが実際には売られていますので、今後もまだまだ増えそうです。

Aliexpressで電子工作-13 FMラジオキットをLiPoで動かしてみる” に対して2件のコメントがあります。

  1. MK より:

    同じようにリポを接続すると、なぜかノイズが出て受信が困難になります。普通の電池では受信に問題はないのですが、なぜでしょうか?リポの保護回路に問題がある気がするのですが?

  2. higukenn より:

    このページの中にも少し書いてありますがわかりにくいと思うのでまとめてみると次のような感じです。

    まず、ここに使われているICは詳細なデータシートがありません。
    “Aliexpressで電子工作-6″のなかに書いてあるように同じ機能を持っていると思われるICで”GS1299″と”RDA7088″のデータシートを見ると電源電圧に関して詳細には記入されていません。
    おそらく受信特性のデータが書いてあるところの条件として書かれているものが動作電圧範囲だと思われます。
    それによると1.8V~3.6Vではないでしょうか?絶対最大定格に関しての記述は見つかりませんでした。

    こちらでも充電直後の電圧が高い状態だと動作が不安定になることがあります。
    ということでおそらく【電源電圧が高いと動作がおかしくなる】と予想されます。

    対策として自分はシリコンダイオードを1本直列に入れて電圧を下げましたがこれでは不十分かもしれません。
    そうかといって2本入れると電池が消耗したときに十分に電池のエネルギーを取り出せないままシャットダウンするかもしれません。

    もう一つの対策としてはレギュレータを入れることですがそう簡単ではないかもしれません。
    Aliexpressで最近Li-Poバッテリー付属のキットも出ているようですが[バッテリー→スイッチ→レギュレーター→ラジオ]のような回路になっていそうです。
    これならば極端に消費電流の少ないレギュレーターでなくともOFF時のバッテリー消耗を気にしなくていいでしょう。
    ただ、ラジオICに内蔵の電源スイッチが使えないと最後に使った受信周波数や音量が記憶できずに毎回電源ON時に初期化されてしまうことになります。

    [バッテリー→レギュレーター→スイッチ→ラジオ]のような回路にすれば最後に使用した周波数と音量は記憶されます。
    ただこれだとレギュレーターに消費電流のかなり少ないものを使用しないとレギュレーターの消費電流によってOFF時にどんどん充電が減っていってしまいます。
    探せば見つかるとは思いますがラジオ自体が安いものなのでレギュレータにお金をかけるのもどうなんだろうという気もします。

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